

JADE-Zという名前で活動を始めた二胡奏者、周子珺。去年の秋、このアーティストに注目し日本に紹介したいと考えている方からインタヴューを頼まれた。さっそくZoomでのインタヴューを快く受け入れてくれたJADE-Zだが、PCの画面に彼が登場し最初にそのルックスを見た時、頂いていた写真どおりの美しさに驚いたのを覚えている。でも近寄りがたいというより、どこか親しみの持てる感じもあって、開始早々インタヴューが楽しみになった。このインタヴュー中、JADE-Zは終始笑顔で率直に答えてくれ、とても良い印象を持った。

インタヴューの最初で、彼のプロフィールを確かめていた時、彼が名門中国音楽学院付属高校を途中で退学してしまった話になった。この学校に入ったということは小さい時から二胡の才能が相当ありかなりの練習を重ねてきたはずなのに、何故なのかと思ったからだ。JADE-Zは、言葉を選びながらゆっくりと話してくれた。「僕が音楽を知ったのは二胡を始めてからなのは間違いないのだけど、でも音楽は二胡の世界だけではない、と思うようになったんだ。でも学校では二胡だけをちゃんとやれって感じで、もちろんどっちが正解ということではないけれどね。僕はもともとポップスが大好きで、ゲーム音楽のエレクトロニックな感じとか。だからそっちの方向に行きたいと思ったんだよ」。
確かにJADE-Zがくれたいくつかの曲を聴くと、それはたとえ伝統音楽的な旋律だとしても、彼の二胡はメリハリが効いていて、若々しいポップなテイストがある音なのだ。
JADE-Zが多感な十代を送っていた時、彼のまわりで特に人気があったのは、今も活躍するシンガー・ソングライターたち、ジェイ・チョウ、ワン・リーホン、JJリン、デイヴィッド・タオといった存在。「彼らのこと、すごくすごく好きだったんだ」とJADE-Z。「彼らは皆中華的テイストとポップスをそれぞれの形で素晴らしく融合しているよね」。
そこからどんな音楽が好きか、という話になった。「今はとにかくロックが好き。日本のバンドもとても好き。L'Arc〜en〜Ciel、ONE OK ROCK、BABYMETAL・・・。もちろん洋楽もたくさん聴いている。MR. BIGもマリリン・マンソンも好き・・・そういえば僕はね、ヘビメタ聴きながら寝られるんだよ、というか、ヘビメタかけてないと寝られない時があったくらい」。この話をしているときは本当に嬉しそうだった。


さて、日本のファンについてだ。彼が演奏している姿が観られるSNSをチェックしている人の数はどんどん増えているようだが、それについてJADE-Zは、「ここではファンの皆さんとの相互交流が目的だから、ファンのかたの好みそうな音楽を載せているよ、ヘビメタじゃなくてね(笑)」。日本にもすでに熱狂的なファンがいるらしいですね、と話を振ると、そんなこと知ったのはつい最近なんだよ~と笑顔と同時にとても照れ臭そうだった。
そして、日本についての話になった。「僕はずっと日本に行ってみたいと思っているけど残念ながらまだチャンスがないんだ。日本には美味しいものがたくさんあるでしょ、ラーメン食べたい、てんぷら食べたい、かつ丼食べたいすき焼き食べたい・・・」(笑)、このインタヴュー中一番の早口で話してくれた。
JADE-Zとして彼は今まだ未知数だ。だから、いつか彼が来日し日本で刺激的な音楽家と出会い、彼の音楽の魂に火が付いてこれまでになかった二胡を聴かせてほしいと思うし、また、彼のインスタグラムでは中華圏の有名な曲を“歌う”姿もアップされているし“ギター”を弾く姿もある。若い音楽家としてはきっといろいろなことに興味があるのだろう。これからの活躍を楽しみにしている。
関谷元子(音楽評論家)

